ドル円は“米ドル安トレンド”の渦中に


2025年4月第4週、ドル円相場は再び注目を集めています。
トランプ前大統領による関税強化への懸念が再燃し、マーケットではリスクオフの米ドル売りが続いています。
特に円に対しては、月初来で5%超の急落を記録しており、これは昨年7月以来の大幅下落です。
今週は、日米財務相会合や米経済指標が控えており、ファンダメンタルズとテクニカルの両面でドル円相場に注視が必要です。
基本シナリオとしては「米ドル安・円高」の継続が想定されますが、市場のセンチメント次第では“急反発”の可能性も。
現状を的確に捉えつつ、想定される展開とその分岐点を丁寧に探っていきます。
ドル円は「米ドル安・円高」継続がメインシナリオ


今週のドル円(USD/JPY)は、米ドル安・円高の基調が意識されつつも、突発的な「急反発」リスクにも注意が必要な展開です。
4月に入ってから米ドルは対円で5%以上下落し、これは昨年7月以来の大幅な下落率。
背景には、トランプ前大統領による関税強化への警戒感があり、市場全体でドル売り圧力が強まっています。
米ドル安が進行する2つの理由


- 金利との連動性が崩れたドル相場 米金利が上昇してもドルが買われず、逆に金利低下局面ではドル安が加速するという相関性が続いています。
これは、米国債が買われやすくなっているリスク回避の動きや、関税政策への懸念が影響しています。 - 投機筋の米ドルロング縮小 CFTC(米商品先物取引委員会)のデータによれば、ICEドル指数のロングポジションは急速に減少し、ネットポジションは売り越し(ネットショート)目前。市場はドル安へのシフトを明確にしている状況です。
注目イベント:日米財務相会合とその影響


今週24日(現地時間)には日米財務相会合が予定されています。
トランプ陣営が円安是正を強く主張するかが焦点となります。
・米財務長官や政権幹部からは、最近の円高は日本の景気回復やインフレ期待が背景であり「自然な動き」とする見解も。
・そのため、米側から円安是正への圧力が限定的となる場合、為替市場の反応も限定的、もしくは短期的な円高で終わる可能性があります。
テクニカル分析|ドル円は下落基調だがリバウンドの可能性も


下値支持ライン
- 141.61円(4月17日安値)
- 141.00円(心理的サポート)
- 140.00円(週足の節目)
- 139.58円(昨年9月の安値)
- 138.00円(予想レンジの下限)
これらの水準が割り込まれる場合、さらなる下落リスクが拡大します。
上値抵抗ライン
- 143.00円:反発の初動ライン
- 143.88円:フィボナッチ23.6%戻し
- 144.95円:一目転換線
- 145.30円:予想レンジ上限・38.2%戻し
- 146.40円:一目基準線・半値戻し
反発相場ではこれらのライン突破が重要な目安となります。
オプション市場からのシグナル


通貨オプション市場では、リスクリバーサル(ドルプット/円コール)が縮小し、予想変動率も急低下。
これはドル円の急落相場が一服する兆候とも受け取れます。
短期的には反発の地合いが高まっている可能性も。
今週の予想レンジ


- 下限:138.00円(重要サポート割れで下落拡大)
- 上限:145.30円(反発時のフィボナッチ38.2%)
結論:米ドル安地合い継続も、会合・指標次第で反転も


今週のドル円は、米ドル安・円高トレンドが続く公算が大きいものの、日米会合の結果や米経済指標次第では「急反発」も起こり得る状況です。
リスク管理をしながら、節目のラインを見極めて取引を進めるのが良策といえるでしょう。
おわりに



今週のドル円相場は、「米ドル安トレンド」の継続を背景に、円高方向への圧力がかかりやすい一方で、日米財務相会合や米経済指標の結果によっては、予想外の急反発も十分に想定されます。
テクニカル面では複数のサポートラインが意識される状況であり、それらを下抜けるかどうかがカギとなります。
また、オプション市場からも反発の兆しが読み取れるため、一方向への思い込みは危険です。
「ドル安の波」に乗るか、「反発のタイミング」を狙うか─。
為替市場が示すシグナルを冷静に読み解き、今週も慎重かつ柔軟なトレード判断が求められる局面です。
今後もこうした相場の節目では、ファンダメンタルズとテクニカルをバランスよく把握することが利益につながる鍵となるでしょう。
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